事実と反論

事実と反論

Facts and Arguments

2006年8月24日 渋谷 シアター・イメージフォーラムにて(韓国インディペンデント映画2006:Fプログラム)

(韓国:4作品:89分)

 この韓国インディペンデント映画では、短編集のタイトルは『事実と反論』です。

今年は4作品。1本は11分ですが後の3本は20~30分と短編というより中編です。

 『カサブランカ』監督 キム・ジョングク(11分)

監督、主演、撮影、脚本・・・・なにから何まで1人で作った「ひとり映画」

街角に固定されたカメラの前に立つ青年(=監督)

「私は映画監督です」ときっぱり口調で、何度も繰り返す・・・しかし・・・だんだん、「映画監督になりたい」・・・「夢も希望もない」・・・「人は私の映画を実験映画と呼ぶ」・・・間にはさまれる『カサブランカ』という派手なラブソング。

ただただカメラの前に立つ青年・・・・で何が起きるのだろう・・・と思うのですが、だんだん、きっぱり口調がとほほ口調になっていくあたり、演技が上手いというか、なんともいえない哀愁が漂っています。自分のイメージを列挙させたり、色々と実験映画というのはあると思うのですが、ここまでシンプルにストレートに、誰もやろうなんて思わない盲点をついているあたり、観ている間は???なのですが、見終わった後、意外と哀愁とあの『カサブランカ』という曲が頭に残る短編映画。私は好きです、こういうアイディア。

 『マイ・コリアン・シネマ 第6章、第7章』監督 キム・ホンジュン(30分)

過去の韓国映画を振り返る・・・というドキュメンタリー映画。これは第1章~第5章がシリーズとなっている、前を知らないので、ちょっと昔の韓国映画の歴史を知らないとわからない部分あります。しかし、インタビューを受ける監督の言葉で、いかに検閲が厳しかったか、そんな姿も見られます。監督はエッセイストとしても活躍されているらしいです。

 『もう続けられない』監督 ユン・ソンホ(21分)

同じ実験映画でも、これはよくありがちなイメージの列挙タイプの実験映画。でも35ミリのフィルムでしっかり作られていて、そのイメージは綺麗ですね。特に海のあたり。映画を作る事に対しての、苦労や悩み・・・実は『カサブランカ』と同じ事を言っているのですが、こちらの方が「お金かかっている」なかなか難しい事にチャレンジしています。

 『政党政治の逆襲』監督 キム・ゴク、キム・ソン(27分)

今年はこの兄弟の、長編『ゲオ・ロボトミー』と短編2本が観られて嬉しいです。

これは、SFアクション、モンスターホラー、などの色々な要素の映画を分解して再構成した、みたいな映画なのですが、やはり「人に見せる」とう事がわかっていると思います。

赤か緑で統一された画面。台詞は一切なくしたサイレント映画手法。スピーディなカット割。やっぱり上手いです。破壊やゲリラといったものを描きながらもどこか戯画的で、テンポ良く、楽しめる短編。タイトル、いいですね、挑戦的で。 

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