I'll Call You(原題)

I'll Call You(原題)

I'll Call You(得三飲茶)

2006年10月24日 TOHOシネマズ六本木ヒルズにて(第19回東京国際映画祭)

(2006年:香港:85分:監督 ラム・ジーチョン)

 『小林サッカー』でおデブさんとして役者としての方の活躍が多かったラム・ジーチョン監督の香港ラブ・コメディ。

香港ラブ・コメディというのは、ハッキリ言って、洗練された美しい映像の中の美しい人々というより、ドタバタ色々な人が出てきて、泥くさいような野暮ったいような・・・そんなところが特徴かと思います。

 香港ラブ・コメディが楽しめる人には十分楽しめるし、脇役やカメオに意外な人が出てきて大サービス。

前半は、いわゆる定番コメディなのですが、後半からラストにかけてなんとなく哀愁のようなものが出てくるのがこの映画の特徴です。

 女にもてない3人組がいつもうだうだとしているというシーンが多いのですが、その一人、マン(アレックス・フォン)が、出会った女性カレンに夢中になるけれど、カレンは、もうわがまま気まま、都合のいいようにマンを振り回し、それでもめげないマンのトホホな奮闘ぶり。

携帯電話に電話するわ・・・'I'll call you!'という言葉の魔力にとりつかれてしまったように、マンはカレンに振り回される。

 原題に飲茶というのがあるように、とにかく2人は食事をするのですね。

しかし、なかなかマンとカレンの仲は食事以上にはならないのです。それを、結構冷静に見ている友人2人。

さすがにカレンは綺麗だけど、付き合いきれないよ・・・とマンはカレンと別れます。でも、思い出の品を捨てれば、両親(父、ラム・シュー)がちゃっかり「物は大事にせにゃーねぇー」なんてしっかり自分たちの物にされてしまうトホホ。

 前半のデートを重ねる度に高感度がアップしていくのを画面の上にゲームのポイントが上がっていくように数字が出るのはいいけれど、なかなかステージクリアにはならないのです。また、カレンと別れた後、何故か日本の演歌歌手が演歌を切々と歌うのが後ろに出てきたり。

楽しいときは2人の周りはカーニバルになり、さびしくなると演歌(しっかりカラオケ仕様)。(監督は日本の紅白歌合戦が大好きで、きらきらした衣装で歌う森進一に憧れていたそうです)

 カレンをあきらめてしまったマンはまた、3人男組でバーでぐだぐだ。結構、この3人の雰囲気がいいのですけどね。カレンの為に、2人を無視しても何も言わないなんていい奴ではありませんか。

この映画は、マンとカレンが別れてから・・・のテンポがゆるやかなになってくるところからが、特にいいと思います。

なんだかんだいって、マンとカレンはお似合いだったりするのかもしれない、いや、やっぱりお互いもっといい人がいるのかもしれない。

別れた後のマンとカレンがむしろ、さばさばと会って話しているシーンが、自然な雰囲気が出ていました。

もう、マンは以前のようにカレンにつくさない。カレンは逆にマンをおざなりにしてしまった自分に気づく。

 カレンの事で、傷ついたマンの心象風景は牢獄になる。失恋は牢獄のようで、失恋から立ち直るのは牢獄から脱獄するようなものだ・・・といった例えの使い方が可愛らしい映画です。

映画は、2人はめでたく結ばれました・・・では終わらない。男と女の間にある何かを乗り越えるためには何をしたらいいのか、どんな努力をすればいいのか、ただただ恋人がいれば、それでいいのか・・・などと考える、コメディ要素も強いけれど一本の恋愛映画でした。

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