シャングリラ

シャングリラ

Finding Shangri-la

2005年10月25日 NHKみんなのふれあいホールにて

(2008年:中国:107分:監督 ティン・ナイチョン)

第10回NHKアジア フィルム フェスティバル

 中国で、雲南を舞台に女性監督10人に映画を作らせるプロジェクト、「中国新電影・雲南影響」の3作目にあたるのだそうです。

監督、といっても映画だけでなく、さまざまな分野で活躍している女性に「映画」を作ってもらう・・・・というわけで、このティン・ナイチョン監督はもともとは舞台で女優、舞台監督をされている方だそうです。

 息子を不慮の事故で失った女性、ジー・リン。

夫は事業で成功して、裕福な暮らしをしていますが、最愛の息子を失ってしまったジー・リンは、ひたすら息子の影を追いかけ、加害者が罪を認めず、裁判をくりかえし、夫が和解を言いだしても頑なに拒否しています。

 最初、このジー・ハンの「頑なな拒否」というのが、ものすごく描かれるのですね。

あまりにも身勝手なようにも思えて、夫が「(過去ばかりにとらわれて)夫である自分はどうなんだ。もう、現実を受け入れろ」みたいなことを言うのも、なんかもっともだなぁ~~~なんて思うくらい、狂信的に「過去にしがみつく様子」

 息子とよく家の中に宝を隠してヒントを出し合う「宝探しごっこ」をしていたのですが、ふとしたことから、息子のヒント・・・の山の絵を見つける。

その山の絵とヒントから、ジー・ハンは、雲南省の梅里雪山に向かう。

その時、謎の青年がジー・ハンを見つめていて、首のうしろに入れ墨があるからすぐわかるのですが、だんだんジー・ハンに近寄ってきて、2人での旅に。

 ここらへんから、現実なのか、幻想なのか、夢なのか・・・・という風になってきますが、そのぼかし方が結構くっきりしているように思いました。

観客をけむに巻くような作りはしていないのですね。

夫が会社で、若い女性と浮気しているのでは・・・?と知ると、キィ~~~~とヒステリーを起こすわりには、アレックス、と名乗る若い男の子との2人旅。

女の人に結構、都合いいロマンス展開だなぁ・・・・なんて・・・・

 だんだん、高山になってきて、民族も変わってきて、広大な自然の風景と色鮮やかな衣装がとてもきれいですね。

そして、だんだんジー・ハンの頑なな心も変わってきますが、アレックスという青年な何者で、何が目的でジー・ハンと一緒にいるのか・・・といったミステリアスな部分もあり・・・要素はもりだくさんです。

 いきなりバイク2人乗りで(ジー・ハンは短いスカートにブーツ・・・タンデムするなんてとんでもない格好ではありますが、まぁ、あくまでも視覚的効果で)高山に行くと高山病になり、バイク乗りながら、ばあああ~~と吐いてしまうところなんか、面白かったですね。

 プロデューサーも女性であり、高山地帯での撮影は大変困難だったそうですが、一番、大変だったことは、高山病ではなくて・・・・女性スタッフのトイレ問題だったそうです。

トイレなんて普通にある都会から、もう、傘を持って行って・・・・仕方なく・・・という過酷なロケだったそうですが、山の上で流れ落ちる滝。そして滝の上にジー・ハンが見つけたもの・・・そして、都会に戻ったジー・ハンを待ち受けていたもの。

ロマンスあり、ミステリあり、自然あり、許しというものを得るまでの苦しい道のりの物語でもあり、色鮮やかさなどは、舞台の華やかな衣装を見ているようで、きちんとよくまとまった映画、だと思います。

*****追記****

この頃は、秋になると東京国際映画祭、NHKアジアフィルムフェスティバル、東京フィルメックスと映画祭に通ってました。

NHKアジアフィルムフェスティバルで、上映された、ということはNHKが出資している訳で、NHKのBSで放映されているはずです。



 

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